自然史の本棚

自然史系の本の感想、昆虫観察、博物館めぐりのブログ

【本の感想 #1】 「昆虫こわい」

今回読んだ本は『昆虫こわい』

 

 

本書の内容

昆虫研究者である著者が研究で世界中を旅するなかで経験した、虫と人々との出会いをつづった体験記です。

 

書誌情報

出版社:幻冬舎新書

ページ数:263

2017年7月30日発行

新書(カラー版)

著者:丸山宗利さん

アリやシロアリと共生する昆虫を専門とし、アジアにおけるその第一人者。国内外での昆虫調査を精力的に実施し、数々の新種を発見している。(Amazon.co.jp 著者紹介より抜粋)

 目次

第1章 最強トリオ、南米へ

第2章 アリの逆襲

第3章 虫刺されは本当に怖い

第4章 ハネカクシを探せ

第5章 新種新属発見!

第6章 熱帯の涼しくて熱い夜

第7章 研究者もいろいろ

第8章 いざサバンナへ

第9章 でっかい虫もいいもんだ

第10章  昆虫好きの楽園

                               (本書目次より)

 

【感想】昆虫の世界を旅する研究者のお話

著者の丸山さんのご専門はアリと共生する「ハネカクシ」と呼ばれる甲虫とのことですが、本書ではそれ以外にも南米や東南アジア、アフリカといった世界中のさまざまな昆虫との出会いが書かれています。

 

全体を通して丸山さんや共同調査を行ったみなさんが野外で昆虫調査を行う様子が詳しく書かれていますが、目的の昆虫や予期せず珍しい昆虫を発見した時のリアクションが面白かったです(笑)

 

たくさんの甲虫や蝶の仲間がカラー写真で掲載されていますが、個人的にとくに惹かれた昆虫はツノゼミ

セミという名前ながら、セミとは異なる大きさ数ミリメートルの小さな昆虫です。

 

ツノゼミの詳しいことはwikipediaを参照→ link )

 

本書では世界中のさまざまなツノゼミの仲間を紹介していますが、その姿がとにかく多様です。

たくさんコブのついた角や三日月のような形の頭の種や、ハチのような模様をした種などなど。

こんな小さな昆虫に形のバリエーションがみられるのかと感心しました。

とくに南米で多様なんだとか。

 

本書では「新種を発見」「何十年ぶりの再発見」という言葉がいくつも出てきます。

海外での調査では様々なトラブルや現地の人との交流も経験されてきたようで(本書ではそうしたエピソードもつづられています)、そうしたなかで研究者が直接、人里離れたフィールドに足を運び続けた努力の結晶が、こうした素晴らしい成果をいくつも生み出しているんだと感じとれました。

 

 丸山さんはほかにもたくさんの著書を出されています。

個人的におすすめなのが以下の本です。